足らなかったもの。

自分も子どもの頃は野球が大好きだった。

どこかで歯車が狂って野球が嫌いになった。

何度も辞めようとして

でも最後は辞める勇気がなかった。

２度と経験したくないような残酷な

日々だった。

そこから気持ちは大逆転して

楽しく真剣にやる野球に出逢い

大学4年間を過ごすことができた。

燃えつきたのか

納得したのかはわからないけど

就職が決まり

自分でもビックリするぐらい

野球をスパっと辞めた。

4年前に息子が野球をはじめ

自宅の奥の奥にしまわれていた野球道具。

存在すら忘れていた写真が

息子の手で表に出てくる。

辛かった思い出も

忘れたかった思い出も

根こそぎ引っ張り出してきた。

自分に足らなかったものは

なんだったんだろう？

センスのかたまりのような友達に

努力だけで挑む自分の息子をみて

「野球が好きだけじゃどうにもならないよ」

と何度も残酷な言葉がでかかった。

速い球が投げれるわけじゃないし

遠くに飛ばせるわけでもない。

そして足も遅いし背も小さい。

何かが秀でてるわけでもない。

でもキャプテン。

でもレギュラー。

でも1番バッター。

でもショート。

チームにも仲間にも指導者にも恵まれ

気がついたら

すごい仲間の真ん中でプレイをしている。異国の地で言葉が通じない相手とバットとボールとグローブだけで語り合う。まるで侍だ。

スタンドからプレイをみていて

全然ダメなプレイをみながら

「頑張れ！」「いけー！！」「強気！！」

と言葉をかけながらずっと笑いっぱなし、そして鼻の奥がツーンとくる。

子どもは親の敗者復活戦じゃない。

でも自分に足らなかったものを

いっぱい教えてくれる。

帰ってきたらぎゅーだな(笑)